【書評】松尾豊さんが推薦する『AI後進国』(多田和市著, 日経BP社)
松尾豊さんが推薦されている『AI後進国 ニッポンが危ない! 脱出のカギはディープラーニング人材の育成』という本を読んだので紹介したいと思います。
内容, 要約
第1章 AI後進国ニッポン
日本はAIの活用でとにかく出遅れている。このままでは世界で勝てない。日本人の英語力が課題でマシンラーニングのガラパゴス化が進んでいる。
第2章 それでも世界に挑むAI人材
AI後進国ニッポンにおいて、AIを駆使して世界を切り拓く挑戦者たちの紹介。エルピクセル、Preferred Networks、エクサウィザーズ、NECなどがとりあげられています。
第3章 ディープラーニング人材を育成して日本を救え!
AI人材を育成するために様々な活動がなされている。企業で育成したり、資格を作ったり…。
第4章 AI後進国脱却へ、変革を急ぐ企業
ここでは、ホンダ、オムロン、パナソニック、トヨタ自動車といった大手企業における戦略やAIの活用(現在の取り組み)に焦点が当てられています。
第5章 ディープラーニング・ビジネスの可能性を知る
この章でもAIを活用するビジネスについてまとめられているが、より具体的な取り組みが紹介されています。保険見積もり時間の短縮や物流センターでの省人化など。
また、合計6人のAIビジネスにおける注目する人物のインタビュー記事が載せられています。
感想, まとめ
「日本のディープラーニング・ビジネスは、米国はもとより中国の台頭ぶりを見れば、世界で勝てる感じがしない、敗戦に近い。ただし、人材の育成に取り組み、若い優秀な人材に権限委譲すれば、様々な産業領域で世界一になれる可能性はある」
という松尾豊さんの推薦文に惹かれて買いました。
技術面のことはほぼ書かれておらず、「いかに日本はAIの分野で遅れているか」「企業におけるAIの活用の現状とは」についてまとめられています。
おすすめポイント
企業でのAI活用の取り組みが紹介されている点。
また、インタビュー記事が載せられていますが、個人的にはコマツ大橋氏とリクルート峰岸氏のインタビュー記事を読めたのは良かったです。
がっかりポイント
AIに関するニュース記事に普段から触れている方であれば、つまらない内容だと思います。つまり、、、そういうことです…。
あと、「ディープラーニングはすごい!何でもできる魔法だ!」という誤解を与えかねないような気がするのは僕だけでしょうか…。
この本を読んで欲しい人
「普段AIに関するニュースはあまり見ないけど、最近興味が出てきて企業におけるAI活用の動向について知りたい」という方には勉強になる内容かもしれません。
技術面に興味がある人、また普段からAI関連の情報に触れている人にとっては、知っていることが多いかなと思います。